日本の塩づくりの原点、藻塩
温暖な気候に恵まれた瀬戸内は、平安時代から塩田を使った製塩が盛んな土地柄です。上蒲刈島の南西部では、それよりずっと昔の古墳時代から、日本の塩づくりの原点とも呼ばれる製塩法「藻塩焼き」が行われていました。
藻塩とは、かつて玉藻と呼ばれていたホンダワラなどの海藻から作った塩のこと。淡いベージュ色の藻塩は、海水と海藻のうま味が凝縮した、尖りのない、まろやかな口あたりが特徴です。白砂青松の際立つ美しさから日本の渚百選に選ばれ、現在、多くの人に親しまれているこの「県民の浜」で私たちの祖先は、こんなにも繊細で心にしみ入るような味覚を楽しんでいたのかと、千年の時を超えて誇らしささえ感じさせてくれます。
藻塩のベージュ色は、自然の恵みの証。海藻の成分のひとつであるヨードをはじめ、カルシウム、カリウム、マグネシウムなど、海藻に溶け込んだミネラルを豊富に含んでいます。塩分濃度が低いため、成人病の原因のひとつとしてあげられるナトリウムの過剰摂取も抑制してくれます。
古代の方法を基に考え出された独自の製塩方法です。