県民の浜造成工事中に発見された
古墳時代の製塩土器が、
藻塩研究のきっかけに
1982年、考古学の研究をしていた松浦宣秀さん(藻塩の会前代表)が蒲刈町南端にある沖浦海岸(現在の県民の浜)で遺跡分布調査をしていた時のことです。浜辺で古墳時代前半の製塩土器の一片を採集しました。その周辺を調査してみると、畑の石垣に、製塩用の炉の敷石として使用された赤く焼けた平たい石が使われているのを見つけました。
この近くに製塩遺跡が存在したのではないかと考えた松浦さんは、1983年、沖浦海岸の造成工事に毎日足を運びました。ある日、工事現場に行ってみると、20〜30センチ大の粘土塊が多く散乱し、さらに、集水溝を掘っていたショベルカーが土器片をすくい上げたのです。ただちに工事を中止し、緊急発掘調査を開始。その結果、この地がおよそ1600年前の古墳時代前半から鎌倉時代以降の製塩遺跡であることが判明したのです。さらにその後の調査で、縄文時代、弥生時代から近世に至る遺物が採集され、長期にわたって、生活が営まれていたということが明らかになりました。